Eさよなら群馬

管理人は、“文化部のインターハイ”と呼ばれる全国高等学校総合文化祭に佐賀県代表として参加しました。

2008年(平成20年)8月8日(金)

 群馬最終日。だが、世間は今日開幕の「北京オリンピック」一色だ。「めざましテレビ」も「得ダネ」も、その話題で持ちきりだった。ただ、「めざましテレビ」内では、山手線池袋駅で起こった線路トラブルで同線が運転を見合わせていると報じられ、少し不安になった。

 朝食を食べ、9時前にY先生と一緒にホテルを出た。Y先生によると、私たちと同じで閉会式に参加しないことを決めた学校も多いらしく、昨日のうちに帰ってしまったところもあるという。

 Y先生は一足先に東京へ行き、友人と会う約束にしているそうで、高崎駅で別れた。私たちは、高崎駅のコインロッカーに荷物を預け、身軽になって高崎シティギャラリーへ。高崎シティギャラリーは既に開館していた。意外なことに、総文祭の写真部門に参加したと思われる生徒が、ここにたくさんいたのだ。おそらく、「どうせ自分に関係のない閉会式に出るくらいなら、展示作品を見たほうがましだ」と考えたのだろう。

 入り口には、群馬県内の写真部員が写真を貼り合わせて作っただるまが展示されていた。そこから先が、展示室だった。各作品には、出品者名や都道府県名、学校名の書かれた札が添えられていて、入賞作品にはその賞名が横に書かれていた。やはり、全国レベルの作品になると、たいてい構図はしっかりしているし、工夫されていた。だが、入賞作品が必ずしもその賞に相応しいと思ったわけではなく、「この入賞作品よりもこっちの方が社会を風刺していて面白くない?」「何でこれが入ったのか分からない。同じテーマなら、向こうにあった作品の方が良かった」と言いたくなるようなところもあった。

 一昨日、グループで作った共同作品も展示されていた。それぞれ工夫が凝らされていて、あの短い時間によくこんな発想が出てきたものだ、と感心してしまう作品もあった。私のいた30班「Mt.Photo」もあった。

 2階にも展示室があり、こちらは主に群馬県内の写真部員が撮った作品が展示されていた。中には、虹をバックに走る115系や迫力満点の蒸気機関車を写した“鉄道ネタ”もあり、私も是非このような写真を撮ってみたいと思った。また、高校生スタッフの挨拶も丁寧で、この大会は、本当に地元の高校生が頑張っていたと思う。

 1時間ほど見回り、最後に記念のボールペンを買って高崎駅に戻った。高崎駅で、名物の「酒饅頭」や合格祈願の「高崎だるま」を買い、荷物を取り出して「みどりの窓口」へ。せっかく指定券付きのきっぷを手配してもらったので、乗車変更をすることにしたのだ。時間を調べると、2階建て車両の「MAXたにがわ」がちょうどあったので、2階席を指定した。

 改札内の売店でちょっとした買い物をしてホームへ。列車を待っていると、一昨日利用した越後湯沢行きの「とき405号」が下りホームに入ってきた。今回はリニューアル色の200系だった。

 それから約15分後、東京行きの「MAXたにがわ」が入線した。車内は指定を取るまでもないほど空いていて、私たちの乗った車両の2階席は、他にわずか4人しか乗っていなかった。

 列車は、定刻に高崎駅を発車した。群馬からついに離れる時が来た。不満なこともあったが、トータルでは本当に楽しい3日間(実質2日間)だった。

 東京に着くまでの間、車内をいろいろ見学してみた。驚いたのは、これだけしか乗客が乗っていないのに、売店が営業中だったことである。それ以外にも、2階建て車両ならではの設備があちらこちらにあって興味深かった。

 正午ごろ、東京駅に着いた。この後、私とinfinity_fateは新宿まで一緒に行った後、別々に都内で行動するわけだが、荷物が邪魔である。話し合った結果、帰りに羽田空港へ向かうことを考慮し、浜松町駅か天王洲アイル駅に荷物を預けることにした。まず、山手線で浜松町駅へ。ところが、infinity_fateは「高崎→東京都区内」というきっぷのルールを理解していなかったらしく、東京駅で乗り換える際に自動改札機から出てきたきっぷを取り忘れたらしい。上記のような市内・都区内着のきっぷを乗り換え改札口に入れると、回収されないのだ。思った以上に自動改札機は頭が良い。

 幸い、山手線電車は動いていた。だが、“時刻表上”では遅れているらしく、車掌さんが何度もお詫びの放送を入れていた。もっとも、乗客にとって山手線はすぐ来れば良いので、大半の人は全然気にしていない様子だった。

 浜松町駅に着いた。infinity_fateは有人改札で先ほどの“事件”を説明して、何とか出場できた。有人改札では、「遅延証明書」の発行が行われていた。さて、ロッカーのコーナーへ。だが、ロッカーは全部埋まっていて、やむを得ずモノレールに乗って天王洲アイル駅へ。こちらのロッカーは空いていた。

 これから新宿に出て行くわけだが、天王洲アイル駅ならりんかい線を使えば便利だ。モノレール駅から少し歩いて、りんかい線の天王洲アイル駅へ。電車はすぐにやって来た。私たちがこれから新宿に行く理由は、新宿駅前の高層ビルで開催中の写真展を見に行くためだ。実は、私もinfinity_fateもこの写真展に応募して入賞し、そこで作品が展示されているのだ。せっかく東京に来たので、是非ともその様子を見るべく、新宿へ向かったのである。

 13時過ぎに、新宿駅前の会場に到着した。こちらは、一般の部、高校生の部で入賞した作品しか展示されておらず、まさか自分の作品が東京の都心で展示されるとは夢にも思わなかった。私が来年の大会で応募する際は、一般の部になるのだが、また面白い作品が撮れたら、是非チャレンジしてみたいと思う(ただ、一般の部は応募料がものすごく高いのだが……)

 せっかくなので、高層ビルから東京の眺めをしばらく楽しむことにした。遠くは若干霞んでいたが、よく晴れていて、眺めは良かった。

 さて、新宿から先はinfinity_fateと別行動となる。私は、気になる大学(結果として一般入試は受験しなかったが)や都電、お台場と周って、先ほどの天王洲アイル駅に戻ることにしている。これにより、りんかい線の制覇が完了する予定だ。

山手線に乗ったり、大学を見たり、

都電に乗ったり、撮影したりして、

東京メトロ有楽町線で、りんかい線に接続する新木場駅へ。

 電車は、新木場駅の手前で地上に出た。一旦メトロの改札口を出て、りんかい線の改札に再び入場。埼京線直通(快速)の川越行きが停まっていた。だが、車内は閑散としていた。

 電車は途中から地下に入り、そして「東京テレポート駅」に到着した。着いた瞬間、映画「踊る大捜査線」で使われた音楽の駅メロが流れてきた。確かに舞台がお台場近辺であり、制作したフジテレビの最寄でもある。東京テレポート駅に相応しい駅メロではあると思った。

 この時、お台場では「お台場冒険王 ファイナル」が開催されていて、かなり賑わっていた。終了まで時間がないし、入場料も高いので、私はその周りの雰囲気だけを楽しむことにした。ただ、「無料」スペースもあり、そこは自由に出入りできたようだ。

 近くのペデストリアンデッキに行ってみると、レインボーブリッジや東京タワーを望める場所があった。よく考えてみたら、ここも確か「踊る大捜査線」のロケ地だったような……。

振り返って、フジテレビの社屋を撮影。ちょうど「ゆりかもめ」が通り過ぎていった。

 うろうろしていると、近くで何やらイベントが始まった。だが、遠くからしか見られなかったので、出演者の顔はよく見えなかった。それにしても、何て人が多いんだ……。

 飛行機の時間が迫ってきたので、20分ほどで散策を終了。りんかい線で天王洲アイル駅に戻った。これでりんかい線の制覇完了である。ロッカーで荷物を受け取り、少し歩いて東京モノレールの天王洲アイル駅へ。羽田空港第2ビル行きの1000形がやって来た。全日空の飛行機は、第2ビルから出るので、終点まで乗らなければならない。各駅停車だったので、途中の昭和島駅で通過待ちを行った。列車は、17:20過ぎに羽田空港第2ビル駅に到着した。全日空455便佐賀行きの出発まで残り1時間を切った。前回ほどぎりぎりではないが、今回は夏休みのお盆前、しかも週末だ。荷物を預けにカウンターへ行ったが、既に長蛇の列ができていた。ただ、係員が「福岡行きご利用のお客様、お時間が迫っております。優先でご案内しますのでお申し出下さい」と言っていたので、仮に佐賀行きの搭乗時間がぎりぎりになっても、優先させてくれそうだ。実際には20分もかからずに荷物を預けることができた。

 時刻の案内板を見る限り、帰りは搭乗口から乗ることができるようだ。だが、番号を見た感じでは、どうやら“最果ての”搭乗口らしい。まったく、どこが便利なんだ……。搭乗口には、17:50頃に到着した。まだinfinity_fateやY先生は到着していなかった。お土産を買おうと近くの土産屋に行こうとしたら、何とそばのベンチに同級生たちが座っていた。聞けば、横浜市で開かれた研究発表会に参加したという。偶然とは言え、不思議なことがあるものだ。

 間もなく、infinity_fateとY先生が揃って到着した。土産は、クラス用と自宅用、親戚用をそれぞれ分けて買ったので、5000円を超えてしまった。クラス用には「ごまたまご」を2箱買った。この「ごまたまご」だけでかなりの金額になったが、翌週の月曜日にクラスで配ったら、かなり喜ばれた。お礼を言いに来てくれたクラスメイトもいて、奮発して買ってきて本当に良かったと思う。ちなみに、昨日の親戚訪問で思わぬ臨時収入があったinfinity_fateは、「ごまたまご」よりも高い「東京ばな奈」をクラス用に買っていた。

 飛行機は、18:10頃から搭乗が開始された。残念ながら、私はまた3列シートの真ん中。今度は通路側にY先生、窓側にinfinity_fateという順番になった。infinity_fateは家庭の事情で何度も飛行機に乗ったことがあり、私は「たまには真ん中でいいじゃん」と変わってくれるように頼んだが、断られてしまった。

 定刻の18:20、飛行機は搭乗口から離れ、夕方の東京の空の飛び立った。入道雲が沈み行く太陽に照らされ、きれいなオレンジ色に輝いていた。まもなく、電波を出さないデジタル機器の使用が可能になった。

 飛んでいると、数字の「3」の形をした面白い雲を発見した。「3の倍数」が大好きな、あのお笑い芸人が喜びそうな雲である。それにしても、どうすればこのような形になるのだろうか。

時々飛行機は雲の中を通過した。だが、そんなに大きな雲ではなく、揺れたり降下したりすることはなかった。

 飛行機は、A320型だったが、往路で乗った同型機よりも機内の見た目が古そうだった。座席はほぼ満席だったが、中型機なので合計しても150人くらいしかならなかった。

 ふと窓を見れば、縞状に並んだ雲が夕焼け空を横切っていた。神秘的な風景で、しばらく見とれていた(だからと言って、飛行機の旅が好きというわけではない)。

 九州上空に到達する頃には、空は真っ暗になっていた。飛行機は次第に高度を下げ、眼下に町明かりが見えるようになった。どこを飛んでいるのか分からなかったが、平地が広がっているのは分かった。おそらく、福岡県と佐賀県にまたがる筑紫平野なのだろう。

 20時過ぎ、飛行機は佐賀空港に着陸した。荷物を受け取り、到着ロビー(?)へ。家族が車で迎えに来ていた。infinity_fateやY先生とはここで別れた。車内のラジオでは北京オリンピック開会式の模様を伝えていた。帰る途中、コンビニに寄った。品物を選んでいると、見覚えのある制服を着た女性が何人か入ってきた。さっきの飛行機に乗務していた客室乗務員の皆さんだった。空港周辺にはレストランもスーパーもない。実は空港からこのコンビニまで20分近くかかる。もう少し行けば、佐賀県庁という地点にこのコンビニはある。佐賀空港は、それだけ辺鄙な場所にあるのだ。私が着いてすぐ来たところを見ると、おそらく乗務が終わって急いで車に乗り、やって来たに違いない。にも関わらず、夕食をコンビニ弁当で済まさなければならないこの悲しい境遇。福岡空港なら、空港内やすぐそばで食料調達が可能だ。地下鉄に乗れば、博多駅も近い。もしかすると、佐賀行きに乗るのはみんな嫌だから、くじ引きで「はずれ」を引いた人がやむを得ず乗っているのかも知れない(そんなわけないか……)。

最後に……

 今回、運動部で言えば、「高校総体」に相当する大規模な大会に参加したが、得るものは多かった。他の人の作品を見て、構図や題材に関して非常に参考になったし、実際に歩いて撮影ポイントを探す楽しみも知った。高3の夏なので、二度とこのような大会に参加することはないだろう。

 だが、この「全国高等学校総合文化祭」は毎年開かれていて、次回2009年度(平成21年度)は三重県で開催される。実は、私の後輩がこの三重大会に参加することになり、是非その展示を見に行きたいと考えている。幸い、近畿地方の大学に私が進学するので、かなり近い。三重大会では、どんな作品が集まるのか。今から楽しみである。(おわり)

 

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