琵琶湖をぐるっと!大都市近郊区間一周640円の旅
京都に引っ越してきて約2週間。話せるクラスメートも何人かできた。教科書も買った。家電も買った。サークルもぼちぼち決めなければ……。取り敢えず、何とか生活できる程度の基盤ができた。それだけに、早くどこかへ行きたくて仕方がなかった。幸い、自宅があるアパートの最寄り駅が大阪近郊区間に含まれており、しようと思えば大都市近郊区間一周の旅も可能だ(大都市近郊区間では、経路が重複しない限り、どんなルートを利用しても良い)。それならば、引っ越してきて初めての旅は、寝台特急「日本海」の撮影をしようと、湖西線方面に決定した。予定では、北陸本線も使って琵琶湖をほぼ一周した後、草津線で南下し、関西本線、奈良線経由で京都へ戻って来ることにしている。2009年(平成21年)4月11日(土)
この日は、朝から春らしい晴れの日だった。自宅最寄りのJR山陰本線(嵯峨野線)花園駅から8時台の電車に乗って京都駅へ。ちなみに、一周ルートは、上記の通りなので、花園⇒東福寺(奈良線)の片道乗車券190円を購入した。京都駅で、113系各駅停車・近江舞子行きに乗り換えた。何とか座れた。引っ越してから、近距離で何度か電車に乗ったが、やはり都会だけあって、車内はいつも混雑しており、席に座れないことの方が多い。 今回の撮影ポイントは、湖西線の比叡山坂本駅。大都市近郊区間の特例により、途中下車ができないので、ホームから撮影する予定だ。18分ほどの乗車で、比叡山坂本駅に到着した。到着してすぐ、敦賀寄りのホーム先端に場所を構えた。ホーム幅は狭くないが、全線高架の湖西線では列車が高速で通過する。なので、安全上、大人数の撮影には向いていないのかもしれない。 本命の寝台特急「日本海」が来るまで、あと30分近くある。ばっちり決めるため、やって来た485系や117系で練習した。この485系は、現在「雷鳥」で運用されているが、数年後には全廃される予定だという。 反対方向の列車だが、223系新快速近江塩津行きも撮影した。今や、223系はJR西日本のスタンダード車両であり、交直両用の521系でも似たスタイルとなっている。 9:30を過ぎた。そろそろ「日本海」がやって来る時刻だ。と、思っていたら、遠くのトンネルがきらりと光った。そして、ピンクの列車が現れた。間違いなく「日本海」だ。 列車はどんどん迫って来た。最近の特急電車にはない、堂々とした風格。何と言っても、寝台特急にはヘッドマークという最上級の飾りがある。同じ機関車でも、ヘッドマーク次第で印象が大きく変わるから不思議だ。 客車列車とは言え、踏切のない湖西線は「日本海」にとっても走りやすいようで、あっという間に比叡山坂本駅を通過した。 「日本海」通過直後に、近江今津行きの各駅停車(117系)がやって来た。後続でも良いが、私は117系の座席が好きなので、それに乗った。車内は結構空いていて、琵琶湖がよく見える、進行方向右側の席に座れた。沿線の桜はちょうど満開で、琵琶湖とともに車窓を彩った。 50分ほど乗って、終点の近江今津駅に到着した。ここから先は、後続の敦賀行きを利用する。ただ、この先の駅近くでイベントが開かれているらしく、車内は混雑してそうだ。 次の敦賀行きは、223系新快速。4両編成だった。車内は思ったほど混んでおらず、途中から補助席ながら座れた。18分ほど乗り、近江塩津駅で電車を降りた。ここで、223系・新快速姫路行きに乗り換えた。米原までの北陸本線では、各駅に停まる。こちらの車内は、始発駅であるためか、結構乗客がまばらだった。ただ、行楽客のおばちゃんグループが「この電車ちゃうの?」「いや、この電車で合ってるわ〜」と騒いでいたのは少々迷惑だった。すぐに収まったので良かったが……。電車は、定刻の11:05に近江塩津駅を発車した。 琵琶湖がよく見える湖西線の車窓も良いが、田園風景の広がる北陸本線の風景もまた、素晴らしかった。これだけを見れば、佐賀とあまり変わらない。私の親戚から聞いた話だが、就職で大都市の会社に勤め始めても、住居は故郷の風景と似た場所に構える人が多いという。やはり、日本人はどこへ行っても“故郷”というものが大事なのだろう。 米原駅では、10分ほど停車。その間、たまたま入線したJR東海所属の117系を撮影した。米原駅は、JR西日本とJR東海の境界駅であるだけに、両社(JR貨物を入れると3社)の車両を見ることができる。 東海道本線に入って、彦根駅を出たあたりから新快速がスピードを上げた。草津駅には、12:23に到着した。ここで草津線に乗り換えた。次の草津線柘植行きは、湘南色の113系。空席があったので、そこで発車を待った。だが、発車2分前に流れた車内放送で、「本日、関西本線は工事のため、夕方まで運休しております」と案内された。そうだった。JR西日本のローカル線では、たまに列車を止めて工事を行っている。大都市近郊区間一周の特例では、途中下車ができない。柘植駅で何時間も待たされるより、今回は奈良線の制覇を断念しよう。私の脳内会議はすぐにまとまり、さっと電車を降りた。それにしてもうかつだった……。 こうなれば、大津駅で一旦降りて花園駅までのきっぷを買い直し、そのまま帰るしかない。次の快速電車(京都まで各駅停車)は211系で、運良く座れた。23分ほど乗って大津駅で降り、改札横の自動精算機できっぷを精算した。距離は花園―東福寺間より、花園―大津間の方が長いので、当然運賃が増えるわけだが、何と190円より130円も高い320円だった。380円で一周できるところが、640円に膨らんでしまった。 再び東海道本線の電車に乗り、山陰本線に乗り換えた。花園駅までは、約13分で到着した。結果として、奈良線制覇を成し遂げられなかったが、メインの「日本海」撮影には成功したので、よしとしよう。大阪近郊区間は、結構広いので、いろいろな経路パターンを組める。次はいつになるのか分からないが、大阪あたりを目指そう。(おわり)