一世帯の為の驛がある。

 

飯田線の119系。太田耀様提供。

飯田線は、太平洋側の東海道本線豊橋駅と、内陸側の中央本線辰野駅を結ぶ、JR東海の電化路線で、数往復ながら特急も走っている。

 この飯田線は、山を越えるため、山間部は非常に人口が少なく、列車の運転本数は低めだ。これは全国のローカル線では、よく見られることで、あまり珍しいことではない。しかし、この飯田線の途中にある「小和田(こわだ)駅」は、その利用客の少なさが、半端ではない。

 小和田駅は、れっきとした旅客駅で、もちろん普通列車は全て停車する。さて、この駅の利用客はどのくらいだろうか。鉄道ファン秘境駅探索派(注:勝手に作ったジャンル)の数を除けば、駅近くに住む、1世帯2人の老夫婦だけである。なぜ、駅周辺に2人しか住んでいないのに、列車が停車するのだろうか。

 かつては、この小和田駅近くに集落があり、利用客もそれなりにあったが、佐久間ダムの完成で集落が水没。一気に過疎が進み、結果として、このような状況になったのだ。

 ただ、この駅を廃止すると、小和田に住む老夫婦は、延々と獣道を歩いて、山を下りて行かなくてはならず、そのため、駅が存続しているのだ。

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