快速「ムーンライトながら」、臨時化で183・189系運用に!?
373系は、なぜか東京運用存続…
東京駅に到着した臨時快速「ムーンライトながら」。2009年3月16日・東京駅で撮影。
2009年(平成21年)3月のダイヤ改正では、寝台特急「はやぶさ・富士」の廃止が大きく注目されたが、安旅好きにとっては、こちらの話題も見逃せない。夜行の快速「ムーンライトながら」(東京―大垣間)と快速「ムーンライトえちご」が多客期のみ運転される臨時列車に格下げされたのだ。 快速「ムーンライトえちご」は、臨時化以降も新潟車両センターに所属する485系のままだが、問題は「ムーンライトながら」である。従来、同列車は定期列車がJR東海所属の373系9両、多客期のみの臨時列車はJR東日本所属の183・189系10両を使用していた。ところが、臨時化以降は183・189系10両(国鉄色)に変更された。同車は、座席のゆったり感が373系に劣る上、揺れや騒音が大きく、乗客の中にはなかなか眠れない人も多いようだ。一方で、私が利用した際には、「この電車、以前軽井沢あたりを走っていたやつでしょ?懐かしいね。最高だよ」と車掌さんに話す年配の方もいて、国鉄ファンやある年代以上の方には、この183・189系を利用した「ムーンライトながら」は歓迎されている模様だ。 一方で、JR東海の373系は、ダイヤ改正以降も東京―静岡間の普通列車として、深夜に上り、早朝に下る1往復運転を行っている。これは、「車両使用料の相殺」に関係があるものと思われる。車両使用料とは、ある鉄道会社が他社所属の車両を使用して、自社列車として運行する際に発生する借り賃のようなものである。今回の場合、JR東海は熱海―大垣間でJR東日本の183・189系を、JR東日本は東京―熱海間でJR東海の373系を“借りて”運行していることになる。ただ、どちらも余計な車両使用料は払いたくないので、JR東日本、JR東海双方が車両を貸し出し合い、借りて走る距離を相殺することで、お互いに車両使用料を極力少なくしようとする意図があるのではないかと思われる。 例えば、JR東日本所属の183・189系「ムーンライトながら」は、年間約120日運行される予定だ。JR東海区間となる熱海―大垣間は営業キロで305.4km、1日1往復で年間120日運行なので、JR東日本が自社の183・189系をJR東海に貸し出す総合計距離は7万3296kmである。一方、JR東海が、東京―熱海間(営業キロ104.6km)に1日1往復、年間365日で自社の373系をJR東日本に貸し出す総合計距離は、7万6358kmとなる。JR東日本の貸し出す距離が、JR東海のそれより3000kmほど短いが、JR東日本は、この他に自社所属車である普通列車(1日9往復/沼津まで/2009年3月改正時)や特急「踊り子」などをJR東海に貸し出しており、実際に双方で動く車両使用料はほぼゼロか、(大企業間を動く金額としては)かなり小さな額になっているものと思われる。 臨時化で車両運用が変更され、ゆったりとしたシートの373系が良かったのか、それとも鉄道唱歌のメロディも聴ける183・189系が良かったのか、その判断は人それぞれだろう。ただ、現在使用されている183・189系は、方向幕が故障している場合もあり、少し旅の気分が萎えてしまうのもまた事実である。快速「ムーンライトながら」、臨時化で183・189系運用に!?373系は、なぜか東京運用存続…写真館
大垣行きなのに東京行き!?東京行きなのに「快速 銚子」を表示したケースもあった。2009年3月18日・東京駅で撮影。
早朝の東京5:20発の静岡行きは、定期ながら時代からの流れを汲む。2009年3月16日・東京駅で撮影。
発車を待つ静岡行きの普通列車・373系。ヘッドマーク部分の表示は「普通」。2009年3月16日・東京駅で撮影。