祝・鉄道博物館が開館!

長年親しまれた交通博物館の閉館から1年と5ヶ月。その後継として、2007年(平成19年)10月14日、埼玉県さいたま市に「鉄道博物館」がオープンしました。

鉄道博物館のメインとも言える実車の展示。2007年10月14日・鉄道博物館で撮影。

 東京・神田にあった交通博物館。惜しまれつつも70年以上を誇る歴史に終止符を打った。

 それから1年5ヵ月後の2007年(平成19年)10月14日(日)に交通博物館の後継となる新たな施設「鉄道博物館」が埼玉県さいたま市にオープンした。鉄道博物館は、交通博物館閉館時より注目されていたが、JR発足20周年にあたる今年は各地で鉄道関連のイベントが催され、ひときわ「鉄道」に関心が集まった。その最中に開館した鉄道博物館は、初日から多くの人々が訪れて賑わった。

 開館したのは3連休でもない普通の週末だったが、私はたまたま東京方面に用事があり、初日に鉄道博物館に行くことができた。このページでは、開館初日の模様を中心に特集したいと思う。

入場まで2時間待ち!

   当日。私はホテル最寄りのJR新宿駅から埼京線に乗り、さいたま入りした。大宮駅で少し電車の撮影を行った後、埼玉新都市交通の電車(ニューシャトル)に乗って鉄道博物館へ。車内は大混雑だった。下車駅の「鉄道博物館(大成)駅」は、鉄道博物館の開館に合わせて「大成駅」から改称されたものである。

 駅からは既に人の波ができていて、私もその波に乗って進んで行くと、何と大勢の人々が既に開館を待っているではないか。中には、係員にやじを飛ばす“非常識人”もいたが、多くの人々は案内に従って「最後尾」のプラカードが掲げられたところに並んでいた。ちょうど新幹線高架橋の下で、ヒューンゴゴゴゴゴと新幹線の通過音が聞こえた。今回、私は一般客として並んだが、「てっぱ倶楽部」なる団体に所属している方々は優先して館内に入れる方式になっていたようだ。しかし、皆開館を待ち望んでいたわけだし、それだけで優先させるのは不公平であるように感じた。

 開館時刻の10時を過ぎてもなかなか列は進まない。あまりにも人数が増えてきたので、途中からコーンが増設され、並ぶスペースが増えた。“直線距離での”入り口には近づいたが、実キロは変わらぬままだった。家族連れを中心に諦めて帰る人が続出し、並ぶ人は幾分減った。

 ようやく一般客の入場が開始されたらしく、断続的ながら列が進むようになった。そして、建物の屋根の下に入ることができた。時刻は既に11時。並んでから2時間が経っていた。エントランスホールの入り口前に臨時の売り場があった。通常は、入場料を払う際にはSuicaやPASMOが使えるのだが、この日は大混雑のために現金支払いのみだった。売り場で入場用のカードを引き換えていよいよ中へ。入場ゲートには自動改札機が設置されていて、売り場で渡されたカードを改札機にかざすとゲートが開いた。九州にはIC乗車券がまだないため、「タッチ&ゴー」は私にとって始めての体験だった。

 なお、後で知った話であるが、この日は博物館側の予想を上回る来場者があり、大混雑による事故の発生が懸念されたため、11:30以降に並んだ人からは入場打ち切りになった模様である。

   館内も大混雑していて、人の流れに乗るのがやっとだった。ここからは、1階から順に館内の様子を紹介したい。

1階(館内)=実車の展示・売店、シミュレーター、食堂など

   1階の目玉は、何と言っても実車の展示(ヒストリーゾーン内1階)である。485系やEF66形の他、旧型電車や20系「あさかぜ」の展示もあり、交通博物館時代に比べて車両数はかなり増えた。なお、かつて交通博物館の玄関にあった0系の先頭部分もここに展示してある。20系などは車内に入ることができ、中には長い列を成しているところもあった。ちなみに、これらの車両は外の線路と繋がっており、車両の入れ替えもできるようだ。なお、ヒストリーゾーンは2階にもあるが、これは後述する。

 このほか、1階にはかつての食堂車メニューを再現したレストラン「日本食堂」や電車以外にもSLの運転体験もできるシミュレーター(SLのみ有料で予約制)、おみやげや記念品を販売する「ミュージアムショップ」、鉄道の仕事を体験できるラーニングホールなどがある。ミュージアムショップやレストランでは、Suicaの使用が可能だったようである。

 

1階(館外)=ミニ運転列車、休憩場、ミニシャトル、鉄博ホール、気動車展示など

   1階の建物を出ると、ミニ運転列車(有料)や455系を利用した休憩場(フレンドリートレイン)、ミニシャトル(無料)、鉄博ホール、気動車の展示がある。外にあるため、荒天時の見学が難しいものもあるが、必見の価値がある。なお、気動車が展示されている線路は、隣を走る本線と繋がっているという。

2階=模型鉄道ジオラマ、ライブラリー、ラーニングホールなど

 2階は、模型鉄道ジオラマ、ライブラリー、ラーニングホール(2階)、レストランなどがあり、鉄道の中身を知ることができるコーナーが多い。  先述したヒストリーゾーンの2階は、その周りをぐるりと囲みこむような回廊になっており、壁に掲げられた巨大な年表では日本の鉄道史が紹介されていた。今年(2007年・平成19年)以降のスペースも用意されていて、今後数年間分の追加が可能になっていた。1階の実車展示を俯瞰でき、多くの人々がカメラを構えていた。「鉄道ダイヤ情報 2007年10月号」のトップを飾ったのも、ここから撮影されたものである。

 このほか、日本最大のHOゲージ模型鉄道ジオラマ(解説付き運転プログラムは要予約)や鉄道関連の雑誌・時刻表を展示したライブラリー、鉄道の原理や安全管理システムを紹介したラーニングホール、駅名表示板やヘッドマークを展示したコレクションギャラリー、キッズスペースなどがある。

3階=ラーニングホール、ビューデッキなど

 1階、2階に続き、3階にもラーニングホールがある。こちらは、鉄道車両の動力やブレーキなどの仕組みを実物を使ってコーナーである。また、ビューデッキでは、ちょうど東北・上越新幹線の線路とほぼ同じ高さなので、新幹線を真横から見ることができる。

4階=パノラマデッキなど

 パノラマデッキは、地上からの高さが25mのところにある。在来線や新幹線、ニューシャトルを一望でき、鉄道博物館に来たならば是非一度は寄ってみたいところである。付近を通る列車を紹介した案内板もある。屋根はなく、安全のためか周囲はガラス張りになっている。

その他……

 鉄道博物館の開館にあわせ、JR大宮駅では記念Suicaが、埼玉新都市交通では定規付き記念硬券などが発売された。大宮駅構内の商店街では、特典サービスが行われた模様である。また、ニューシャトルには記念のヘッドマークが貼られて運行した。

祝・鉄道博物館が開館!!写真館

・鉄道博物館関連の写真は、下記のリンクよりどうぞ。

「入館まで」

「1階へ」

「2階へ」

「4階へ」

「その他・入り口付近」へ

感想:展示内容の充実ぶりに驚嘆する一方、展示物に時代の変化も

 今回、機会があって初日に入館できたわけであるが、2時間も並んだだけの甲斐はあったと思う。

 交通博物館は、都内の密集地にあったために拡張が難しかった。それも事実上の移転理由の一つでもあったが、新たに開業した鉄道博物館ではまさに「今までこれだけを展示したかった!」と表現するかのような展示内容の充実ぶりで、驚嘆させられた。展示物は、交通博物館から継承したものもあったが、新たに追加されたものが多かったように感じられた。それは、ミュージアムショップの販売品目にも見られ、交通博物館の売店で売られていた寝台特急やL特急のヘッドマークを模したヘッドマークやテールマークはほとんど姿を消していた。代わりに、「タッチ&ゴー」に対応したパスケースや山手線などの座席に使用されているモケットと同じ座布団が新登場し、わずか1年5ヶ月で“時代”が大きく変わったように感じた。交通博物館の展示物や販売品が時代に合っていなかったという見方もあろうが、販売品にはもう少し鉄道の歴史的価値を配慮しても良さそうな気がした。せっかく20系客車も新たな展示物として登場したのだから。

 しかしながら、JR東日本が20周年記念事業と位置づけただけに決して来場客の期待を裏切ることはなく、ぜひ首都圏方面に行く機会があれば、立ち寄ることをおすすめしたい。

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