L旅は、そう簡単には終わらない その2
終点の熊本駅には、定刻の9:52に到着した。早速、スタンプラリー開始である。最初に向かうのは、三角(みすみ)線の終点、三角駅。早速、三角行きのキハ47形に乗り込んだ。 列車は、10:01に熊本駅を発車した。宇土駅から三角線に入り、ガタンゴトンガタンゴトンと、ジョイント音が小刻みなものに変わった。住吉駅では、列車行き違いのために3分停車した。その間、一旦途中下車して、駅の様子を撮影した。住吉駅には、駅舎がない。台風で全壊してしまったそうで、今では駅名表示板ときっぷ回収箱、それに簡素な屋根を持つベンチが残るだけという殺風景な駅となっている 列車は、有明海を右手に望みながら、終点の三角駅を目指した。 10:52、列車は終点の三角駅に到着した。早速、スタンプブックにスタンプを押した。そう言えば、ちょうど1年前にも三角駅を訪れていた(『寝台特急「はやぶさ」&夜行快速列車で行く中学校卒業旅行』参照)。あれから1年も経ったのか。あっという間に過ぎてしまったような気がする。「はやぶさ」のA寝台個室に乗って東京に行ったのも、つい最近のことのようだ。 折り返しの列車に乗って、三角駅を出発した。途中の網田(おうだ)駅でも、3分停車すると言うことなので、途中下車した。網田駅は、簡易委託駅となっていて、窓口には観光協会の方が一人座っていた。木造の駅舎を撮影し、列車に戻った。 終点の熊本駅で一旦途中下車し、食料を調達して、上りの815系各駅停車に乗った。次の上熊本駅で下車し、熊本市電上熊本駅前電停(旧上熊本駅舎)を撮影した。鹿児島新幹線の建設工事で、木造駅舎が取り壊されることになり、それを聞いた市民らが保存運動を展開した結果、すぐ隣の上熊本駅前電停の屋根として移築されたのだ。鹿児島新幹線の工事では、熊本駅構内のレンガ車庫も取り壊されるなど、貴重な文化遺産が失われたこともあったが、このように一部だけでも移築、復元された例もある。これは、「上熊本駅前電停」のリニューアル工事という幸運と、市民活動が実った結果だと思う。 ちなみに、旧駅舎の前にあった漱石像は、道の反対側に移されていた。しかし、ちゃんと駅舎と漱石像がいっしょになるように工夫されていた。 上熊本駅前電停から市電に乗って、新水前寺駅へ向かう。やって来たのは、1350形の健軍町行き。ここから乗る客の9割が女性だった。 電車は、熊本城を中心にぐるりと周りこむと、中心市街地の中を走るようになった。路面電車が、自動車と一緒に走るのも、競争をしているかのようでなかなか面白い。 水前寺駅通り電停で下車した。しかし、実際には、水前寺駅よりも「新水前寺駅」の方が近い。 電停から新水前寺駅までは、徒歩3分ほどだった。新水前寺駅から815系の各駅停車肥後大津行きに乗った。肥後大津駅では、キハ220形200番台の各駅停車宮地行きに乗り換えた。しかし、車内はすでに満席で、立ち席となった。立野―赤水間では、急勾配を克服するためのスイッチバック運転を行った。沿線には、菜の花が咲いていて、とても綺麗だった。 赤水駅で、ようやく座席に座れた。車内を見回してみると、テレビカメラを持ったカメラマンとリポーターらしき女性2人が乗っていた。そして、阿蘇駅に着くと、テレビ局一行は、列車を降りた。テレビカメラには「KBC」とあったので、おそらく九州朝日放送の所属なのだろう。女性リポーターの2人がカメラを見ながらスタンバイをして、カメラマンの合図とともに収録が開始された。すると、「あぁ〜やっと着いた〜」といかにもたった今列車から降りたかのような“演技”を始めた。私も近くに座っていた男性も思わず苦笑してしまった。なるほどなぁ。こんな演技で「旅番組」というものは作られていたのかぁ。旅番組収録の裏を見ることができてラッキーと思った反面、知らなかった方が良かったかも・・・という気もした。 列車は、15:05に宮地駅に到着した。途中下車して、早速駅舎を撮影した。 宮地駅からは、キハ28・58形快速「あそ1962」に乗ることにしている。実は、この「あそ1962」車内にもスタンプが設置されているのだ。列車は、15:20頃に入線した。 一番乗りで車内に入った。全車座席指定なので、自分の座席を探して座った。その後、スタンプを押しに行き、スタンプブックの所定の欄に押した。列車は、15:37に宮地駅を発車した。阿蘇駅では10分停車した。この阿蘇駅にもスタンプが設置されているので、早速途中下車した。しかし、どこにスタンプが置いてあるのか分からず、同じ目的の男性とあたりを探していると、棚の下の方にちょこんと置いてあった。私と男性は、「もっとも分かりやすいところに置いてくれれば良いのですが・・・」「本当ですよね」と文句を言いながらも、スタンプを押した。 列車に戻ると、私と同じボックスに2人組が座っていた。向こうは、いかにも「何で知らない奴と相席なんだよ」という表情で阿蘇駅を発車してからも嫌な沈黙が続いた。私も熊本駅で買った弁当を食べようと思ったが、それもできそうにない。幸い、今日は空席が多かったので、私は別のボックスに移動した。 どこかの駅で運転停車をした。桜がきれいだった。しかし、今年は葉が出てくるのも早く、他の年と比べると、やはりきれいとは言えなかった。 武蔵塚駅で一旦列車を降り、編成全体を撮影した。 列車は17:21に終点の熊本駅に到着した。そして、815系の各駅停車銀水行きに乗り換えた。大牟田駅では、さらに813系+811系の各駅停車に乗り換えた。 鳥栖駅に着いた。ここで、817系各駅停車多良行きに乗り換えた。こちらは既にほぼ満席だったので、ドア横の補助席に座ることになった。 電車は19:30に鳥栖駅を発車し、佐賀駅には19:54に到着した。佐賀駅からは市営バスで帰った。 今回は、青春18きっぷがJR発足20周年を記念して8000円(一日1600円)という大特価で発売されたため、とても安く旅行することができた。やはり青春18きっぷは良いきっぷである。前回(「青春18きっぷで行く、さよなら餘部鉄橋惜別旅行」)と同じく、西日本中心の旅行となったが、タイトルのように「都市」を中心に周ったので、今回はまた違った楽しさを味わうことができた。 さて、「青春18きっぷ」には途中下車するたびに毎回「途中下車印」を押してもらっているのだが、今までは40個を目前にして終わっていた。今回は・・・と、数えてみたところ、何と45個も集まっていた。最初はただの「青春18きっぷ」だったが、全部使い終わると、駅ごとに下車印の色が違うため、かなりカラフルなオリジナルきっぷになった。 今度はいつになるか分からないが、また「オリジナルきっぷ」を作る旅に出たいと思う。