A面白かったけど、ちょっと不満
写真部門の開会式は、11時から高崎市文化会館ホールで開催されるのだが、駅西口からバスかタクシーで行く必要がある。だが、 ちょうど良いバスがなく、やむを得ずタクシーに乗った。実は、旅行直前に校長先生からお呼びがかかり、「激励費」として直々に1万円を現金でいただいた。なので、この1万円をありがたく使う意味も含めてタクシーに乗ったのだ。ちなみに、今回の旅行で泊まるホテルは高崎駅前にあるが、反対側の出口なので、荷物はそのまま持って行くことにした。 乗ったタクシーもそうだったが、街を走るどのタクシーにも全国高等学校総合文化祭群馬大会の略称である「ぐんま総文」の宣伝ステッカーが貼られていて、どうやら全県規模の取り組みだったようだ。実際、別の会場には皇族方も出席されたそうで、そういう意味では高校総体とほぼ同格の位置づけになっていたと言えるだろう。 タクシーの運転手さんは結構話好きで、「どこから来たの?」と尋ねたり、高崎の街についていろいろ教えてくれたりした。繁華街の近くを通るときには、「あっちの街は夜になるときれいなねぇちゃんがおるから、行ってみたらいいべ」と話し、さすがにY先生も「あ、でも高校生ですから、それはちょっと……」と慌てていた。この運転手さんの方言を聞いて気づいたが、群馬の方言は東北弁のように語尾に「〜だべ」をつけていた。確かに、隣の栃木県出身で茨城県に対抗心を燃やすお笑いコンビの「U字工事」も、他地域の私から見れば東北弁とほぼ同じに聞こえるし、茨城県出身の女性お笑い芸人「赤いプルトニウム」も同じような方言でしゃべっている。大まかに分けると、北関東も東北弁圏内に入っているのかもしれない。 10分ほどで高崎市文化会館ホールに到着した。建物に入り、受付で大きな袋と白黒フィルムを各人1個ずつ受け取った。席に着いたのは、11:10頃で、既に開会式が始まり、誰かが壇上で話している最中だった。ちなみに、この日から別の場所にある高崎シティギャラリーでは全国から寄せられた選出作品の展示会が並行して行われた。 さて、さっきもらった袋には何が入っているのかと思っていたら、全国大会に進出した作品の作品集が入っていた。早速開いてみた。だが、私の作品がどこにも載っていない。索引で引いてみたら、最後のあたりに載っていた。北から都道府県順だったので、西日本に位置する佐賀県の作品が後に載っているのは理解できたが、よく読んでみると、最初のあたりに選考結果が載っていて、何と既に全国大会の最優秀作品や優秀作品が決まっているではないか!高校総体もそうだが、普通は大会の途中で審査や選考が行われ、その場で賞が確定するのかと思っていたが、既に決まっていたとは……。少し前まで「もしかすると、何か賞に入っているかもね」と話していたので、はっきり言って到着してすぐに結果が分かってしまうのはショックだった。全国だから仕方ないか……と諦めもついたが、「何で始まった瞬間に結果が分かるんだ。そういうものは最後だろ!」と、主催者側の配慮のなさに呆れたのも事実である。infinity_fateも同じ気持ちだったし、Y先生も苦笑していた。実際、高校総体にしても「勝ち」を取りにわざわざ遠征するのであって、最初から「貴方は残念でした」と突きつけられては、モチベーションが上がらない。あと2日も日程が残っているのに、実際にこの時点から何ともやるせない気分が残った。式自体は30分くらいしかなく、終盤にテープカットが行われて、“失意のうちに”閉会となった。 ところが、閉会直後に行われた放送が、後で大きな問題となった。2日目に参加者は群馬県みなかみ町で行われる撮影会に参加するのだが、そこまでは主催者側が貸切バスを手配している。そのバスに乗るために、参加者は入場時に配られた袋に入っている「参加申込書」に名前や学校名を記入しなければならない。ところが、その放送では「参加者の皆さんにお知らせします。明日の撮影会に参加するためには、袋に入っております“整理券”が必要になっておりますので、ご確認ください。入っていない方は、本部までご連絡ください」と案内された。しばらく袋の中を探る音がホール中に響いていたが、その後「あれ、ない!?」「どれ?これ?」「これのことかなぁ」と戸惑いや不安の声があちこちから漏れ始めた。私たちも同じで、“参加申込書”というものは入っているが、“整理券”なるものは入っていなかった。撮影会関係の書類で重要そうなものは他になかったので、おそらく参加申込書=整理券という見当はついたが、Y先生も断定までは至らず、結局本部で尋ねることになった。係りの人に経緯を説明すると、やはり参加申込書のことだった。 主催者の群馬県や「群馬県高等学校文化連盟写真専門部」は、誠意をもって準備し、この日を迎えたことと思う。しかし、作品集の件と言い、「参加申込書=整理券?事件」と言い、ちょっと不手際が多いように感じた。例えば作品集は最後に渡す、若しくは賞の掲載は控えて、最終日に発表する。参加申込書にしても、用語の統一はきちんと事前に確認する。こうした配慮があれば、参加者が嫌な気分になったり、困惑したりする必要はなかったはずだ。生徒だけで全国から300人以上がやって来ている。引率を含めたら倍だ。ほんのわずかな行き違いで、会場は大混乱に陥る。人間は、間違いを犯す。予期せぬ間違いなら、許せる。だが、今回の件はいずれも事前に防げなかったのか。主催者側の対応は、ちょっとお粗末だったと言わざるを得ない。 さて、午後からは講演会と生徒交流会になっているが、13時からなので、昼食と一旦荷物を置きに駅まで戻ることにした。ホールの前にもファミリーレストランの「デニーズ」があったが、既に長い列ができていた。バス停まで来たが、あいにくバスがなく、infinity_fateが携帯電話でタクシーを呼んだ。まもなくタクシーがやってきたが、バス停に並んでいた他の生徒が羨ましそうに私たちを見たので、何だかバツが悪かった。駅まではワンメーター710円だった。駅構内を横切り、反対側へ。大きなガラス張りのビルがあって、後でY先生から「ヤマダ電機の本店なんだって」と教えられた。 大通りを渡って、北へ少し行った所に今晩の宿、「ホテル 1・2・3」(ワン・ツー・スリー)があった。垂れ幕を見る限り、安めのビジネスホテルだった。だが、結構新しいホテルで、階段や2階にあるフロントはカラフルな色で内装されていた。フロントに荷物を預け、昼食を食べに駅へ戻った。 少し回って、最終的にマクドナルドに落ち着いた。私とinfinity_fateはビッグマックやコーラをセットで頼んだが、Y先生だけはなぜか100円の単品1個だけだった。気分が優れないという。Y先生は、やむを得ず、ホテルで休むことになり、私とinfinity_fateの2人だけで会場に戻ることにした。時間がなかったので、タクシーを利用した。渋滞に巻き込まれることなく、ちょうど良い時間に到着した。 席に着いたところで、先ほどの混乱をお詫びする放送が流された。ここに来てようやく正しい情報をつかんだ人も多かったようで、少しどよめきが起こった。午後一発目は講演会(正式には、顧問会議)。全国大会に寄せられた作品を審査したという群馬県出身の写真家が講師で、尾瀬や利根川源流の美しい写真を交えて講演が行われた。写真は確かに美しく、濃霧の中、ヘリコプターで尾瀬に降り立つという少し危険な話も面白かったのであるが、話が一方的でギャグも見事に滑り、聴衆が途中から飽き始めていたのも事実である。多くの生徒が朝早くから移動したらしく、居眠りを始める人も続出した。連れのinfinity_fateも途中からこくりこくり……。群馬県と言えば尾瀬も有名だが、私個人としては、翌日行われる撮影会の会場であるみなかみ町について何か説明があれば嬉しかったし、撮影会に参加する生徒も多いので、皆聞いたのではないかと思う。結局、講演会の1時間30分は、7、8割の人が最後まで聞かないまま、幕を閉じてしまった。 続いて、交流会。交流会は、予め各班10〜15人でグループ分けされていた。私個人の意見だが、初日で一番楽しかったのはこのイベントである。「開会のことば」「群馬県生徒代表のあいさつ」に続き、「群馬県写真部活動発表」に移った。活動内容やその様子がスクリーンに映し出されたのだが、群馬県内の高校写真部は結構活発に活動しているらしく、定期的に写真撮影会を開いているようだった。