D西へ西へ、そして松山

これは、関東から九州、四国、中国を股にかけた壮大な物語である。

 12:42発の快速「マリンライナー」は、混雑していると言えるほどではなかったが、席は埋まっていた。途中で乗客が降りて4人分空いたので、そこに座った。  乗ること23分。本州最後の停車駅、児島駅に着いた。児島駅を発車して少し行くとトンネルがあり、それを抜けると瀬戸内海に飛び出した。私は以前も乗ったことがあるのであまり新鮮味がなかったが、2人は瀬戸大橋線を通るのが初めてらしく、盛んにシャッターを切っていた。夏らしい青空に青い海。やはり夏旅はこうでなくては。  

 坂出駅で途中下車した。改札口を出る際、2人に途中下車印の存在を教えると、早速駅員さんに頼んで押してもらっていた。改札口そばの売店で、おにぎりや飲み物を購入。駅舎を撮影してからホームに戻った。

 坂出からは再び西へ向かう。次の予讃線は、快速「サンポート南風リレー号」という名前の長い電車。快速とは言っても、坂出より先は各駅に停まる。面白かったのは、駅の電光表示板。貨物列車通過の案内で、行き先表示に「御注意」とある。本当に「御注意行き」なんてあるのか、と思ってしまった。何ともユニークな表示だ。

 間もなく、7000系の快速「サンポート南風リレー号」が入線した。席は確保できたが、残念ながら山側。やはり予讃線の車窓と言えば海だ。乗り継ぎ列車ではなるべく海側の席を狙おう。

 終点の観音寺駅で、伊予西条行きの各駅停車に乗り換え。こちらも7000系だった。ここから約1時間ほど乗って、伊予西条駅に到着した。ここでは、松山行きの7000系各駅停車(2両)に乗り換えた。伊予西条駅のそばには「四国鉄道文化館」があり、展示車両が少し見えた。時間があるときに一度行ってみたいものだ。

 松山行きは、15:52に伊予西条駅を発車。予讃線が海沿いの路線とは言っても、田園地帯を走ることも多かった。

 今治駅では、15分間停車。その間、改札の外に出て駅舎や電車を撮影したり、トイレ休憩したり。もちろん、荷物は車内に置いたままなので、入れ替わりで車外に出た。こういう時に、グループ旅行は荷物の心配をしなくて良いので、便利である。

 今治駅を発車してすぐ、遠くに愛媛県と広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」の建物が見えた。2日後には、その尾道市でラーメンを食べる予定である。楽しみだ。

 今治駅を出て30分ほどすると、ようやく予讃線らしいオーシャンビューに出合えた。太陽が水面を照らし、遠くに船がシルエットとなって浮かぶ。その海岸線を、電車が縫うように走る。今回は時間が無くてこの付近で下車できないが、ぜひ一度ゆっくり巡ってみたいものだ。

 伊予北条あたりから、帰宅する高校生の数が増えてきた。夏休みだから補習なのだろうか。思えば、私も1年前は補習ばかりだった。受験生にとって、夏以降はもっと大変になる。考えてみると、よくあれだけの勉強ができたものだと今になって思う。もうあんなに勉強することはないのではないだろうか。  17:51、電車はやっと終点の松山駅に到着した。太陽はだいぶ西に傾き、ホームには夕方の雰囲気が漂い始めていた。駅構内には、EF65−100号機が休んでおり、珍しかったので撮影した。

 撮影を終えて、改札口へ。改札口には、とーーーーっても美人の駅員さんがいて、途中下車印を押してくれた。うーむ、JR四国、なかなかやるのぅ。ちなみに、後で改札口を通った時は、おじさんの駅員さんしかいなかった。

 さて、松山では3時間ほど時間を取っている。目的はやはり道後温泉。早速、伊予鉄道の電停に向かった。まずやって来たのは、2系統松山市駅行きのモハ2100形。しかし、この電車は道後温泉に行かないので、次の電車を待った。

 次の電車は、レトロなモハ50形。表示を見れば、5系統道後温泉行き。古い車両が好きな私にとっては、最高である。車内の床は木張りで、内装全体が昔ながらのもの。なかなか良い雰囲気だった。そう言えば、伊予鉄道では、かつて京都市電として活躍していた電車が今も健在である。今回の旅行では会えなかったが、次回来た時は必ず撮って、そして乗りたいと思う。

 松山駅前から乗った乗客はあまり多くなく、比較的空いていた。電車は、夕方の松山市内をゴトゴト走る。しばらく行くと、伊予鉄道の鉄道線と平面交差があり、独特の振動が体を揺らす。ファンにはたまらないポイントだ。時折、同じ形式の電車とすれ違った。バイクや車に守られるかのように走る電車が、何とも微笑ましかった。

 繁華街を抜けると、今度は坂を上りはじめた。いくつかカーブを曲がると専用軌道に入り、そして道後温泉電停に到着。電停とは言っても、土産物屋を併設した立派な建物があった。駅前には有名な「坊っちゃん列車」も展示されていた。

 道後温泉本館は、ここから少し歩いたところにあるようなので、そちらへ向かった。徒歩3、4分で本館前に到着。ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の一モデルになったと言われる本館だが、確かにこれを大きくすれば、油屋そのものだ。

 本館の前は、完全に歩行者天国となっており、浴衣を着た観光客が下駄を履いて歩いていた。やはり、観光地は歩いて楽しくなくてはならない。もし、本館前を車が通っていたら、それだけで興ざめだ。観光客に浴衣を着せ、下駄を履かせて雰囲気作りを行う道後温泉に拍手を送りたい。

 さて、道後温泉に来たからには、早速お風呂だ。一番安い「神の湯階下」(400円)のきっぷを3人とも買って中へ。私はついでに手ぬぐいと石鹸のセットを買った。お土産にはちょうど良いだろう。

E夜の豊後水道を渡る

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