B久しぶりに早起き
起きると、4:40。新門司港到着まであと50分。寝ぼけてぼーっとしていると、放送が入った。放送では、船の運行状況や朝食の案内が行われた。朝食と言ってもパンらしいが、放送によれば船内のレストランで焼いたものらしい。少し腹も減ったし、1個だけ何か買うことにした。 放送が終わると、他の乗客たちもぞろぞろと起き始め、騒がしくなった。パンを買いに行くついでに、少し外へ出てみた。前方一面に街明かりが見えた。もう九州は目の前なのだ。 パンを買うために列に並ぼうとしたが、既に多くの乗客が並んでいた。なので、少なくなるまで通路沿いのコンセントで携帯電話の充電を行った。5:10を過ぎたくらいから、乗客たちは下船準備のため各々の部屋に戻って行き、列がいくらか短くなった。パンは、売り切れが出るほどの盛況だった。1個150〜200円くらいでメロンパンやピザパンなどが売られていた。私は、ミニハンバーグの入ったパン(180円)を購入し、近くのソファで食べた。焼きたてというのは本当らしく、まだ温かかった。 食べるとすぐに部屋へ戻り、荷物をまとめた。間もなく下船案内の放送が流れ、出入り口に乗客の列ができ始めた。一方、客室乗務員たちは、売れ残ったパンを片付けていた。到着時刻から間もない5:32、列が動き始めた。そして、乗った時と同じように橋を渡り、九州に上陸。ターミナルの前には、既に門司駅行きのバスが発車を待っていた。こちらもフェリー利用者は無料である。 バスは、全ての乗客が降りるのを待ち、5:43に発車した。あたりは山ばかり。時折急な坂やカーブを曲がりながら、山の中へ分け入ってゆく。そして、トンネルを抜けると、前方には市街地が広がっていた。新門司港から15分ほどでJR門司駅前に到着。ちょうど6時になろうとしているところだった。 門司駅のコインロッカーに荷物を預け、カメラとその他必要な道具だけを持って行くことにした。この後、寝台特急「富士」の復活運転を撮影するために日豊本線へ分け入って行く。撮影場所は、宇島駅近くの沿線を予定している。しかし、天候があまり良くない。というわけで、第2候補地として中津駅のホームを選んだ。 ここから先は「青春18きっぷ」を利用。門司6:31発の415系大分行きは、早朝とあってボックスを占領できた。 1時間ちょっと乗って宇島駅に到着。撮影予定ポイントは、ここから1kmくらい離れた港なのだが、途中から案の定雨が降り出した。取り敢えずポイントまで行ったが、とても無理そうだったので諦めた。駅に戻る途中、コンビニで朝食を調達し、中津行きの813系に乗り込んだ。 中津駅で一旦下車し、駅舎を撮影してホームへ。程なく、ED76形に牽引されたリバイバル「富士」が入線した。走っているブルートレインを九州で見るのは、「はやぶさ・富士」廃止時以来5か月ぶりだ。下り線ホームに移動して、さらに撮影。ただ、方向幕は「臨時」、テールライトは若干破損しているなど、残念なところもあった(方向幕に関しては、下り鹿児島中央行きのみ「富士 西鹿児島」が表示されたという。
ちなみに、この日の編成は、機関車がED76形66号機、客車が門司港寄りからスハネフ14−101、オハネ15−1204、オハネ15−3、オハネ15−4、オロネ15−3006、スハネフ15−20の計7両。「ソロ」車両は連結されておらず、「富士」廃止時の編成を完璧に再現したものとは言えなかった。また、外から見た限りでは、車掌さんは前後に2名乗務していた。 リバイバル「富士」は、8:56から11分間停車。その間、特急「ソニック」を先行させた。他の撮影者は意外と少なく、ゆっくり撮影できたのは良かった。そして、列車は9:07に中津駅を発車した。 そのすぐ後に各駅停車小倉行きがあったので、門司港駅まで追いかけることにした。小倉行きは813系3両編成。そう混雑する時間帯でもなかったので、こちらもボックスを占領できた。それにしても、日豊本線の813系運用がここ最近増えたような気がする。小倉駅では、さらに門司港行きの811系に乗り換えた。途中の小森江駅には、リバイバル「富士」を撮影したばかりと思しきファンが多数列車を待っていた。 リバイバル「富士」は、まだ門司港駅のホームに停車していた。こちらは利便性が良かったのか、中津駅よりはるかに多いファンが撮影を行っていた。 しかし、1分もしないうちに、機関車ごと回送が始まった。中津駅で十分撮影できたので、あまり慌てることはなかったのだが……。機関車と客車は、そのまま小森江寄りに一旦回送され、折り返して留置線に入った。 不思議だったのは、客車の窓いっぱいになぜか寝具(枕?)が詰め込まれていた点だ。いたずらなのか、業務上のことなのか。結局答えは出なかった。 撮影を終えて、一旦改札口を出た。せっかく門司港に来たので、駅舎を1枚撮影。そして、すぐに快速荒尾行きに乗り込んだ。編成は、813系1100番台R1104編成。今夏にも増備された813系1100番台は、九州を走る電車 としてすっかり定着した感がある。 荷物を回収するため、一旦門司駅で下車。ついでに駅弁も買って、11:26発の快速鳥栖行きに乗った。乗って気づいたのだが、元スペースワールド号のP11編成だった。外観は一般の811系と変わらなくなってしまったが、車内の座席や照明は、スペースワールド号そのままだった。 折尾駅を出たあたりで、駅弁を開けた。今日のお昼は、「かしわめし」(750円)。北九州近辺に多い「かしわめし」は、安いところだと600円台からあり、その気取らない安さが大変素晴らしいと思う。 2時間ほど乗って、鳥栖駅に到着。ここで肥前山口行きの415系に乗り換えた。ただ、昼間の長崎本線で4両編成の普通列車を運行するのはちょっと“過剰供給”らしく、ロングシートの並んだ車内が余計に寂しく見えた。 そして、実家に着いたのは14:30頃。京都のアパートを出てから実に24時間以上が経過していたが、極めて密度の濃い時間だった。飛行機や新幹線では味わえない、まさにスローな旅を心行くまで体感できた。