@有田の休日

毎年恒例の有田陶器市旅行。昨年は佐世保に向かいましたが、今回は大村線経由で長崎方面に足を延ばしました。

 今年もやってきた!毎年恒例の有田陶器市。焼き物ファンにも鉄道ファンにも嬉しいゴールデンウィーク。もちろん、私も年に一度のこの機会を逃すまいと、有田・長崎方面への旅に出た。ナイスゴーイングカードを使ったので、安く旅をすることができた。

 2007年(平成19年)5月3日(木・憲法記念日)。この日は朝から快晴で、絶好の旅行日和となった。午前中にちょっと用事があったので、佐賀11:04発の特急「みどり7号」「ハウステンボス7号」(肥前山口駅まで「かもめ13号」を併結)に乗ることにした。

 いつものように駅前の駐輪場に自転車を止め、ホームへ。帰省ラッシュの真っ只中ということもあり、階段近くの乗車位置には、多くの人が並んでいた。なので、私は階段から一番遠い乗車位置に並んだ。ここは、私以外誰も並んでおらず、混雑していたとしても乗りやすいだろうと高をくくっていた。

 11:03、783系特急「かもめ13号」「みどり7号」「ハウステンボス7号」が入線した。

 ところがである。ドアが開いた瞬間、客室内はもちろん、デッキも人で溢れていたのだ。降りる乗客は、「ちょっとごめんなさ〜い」と何度も言いながら、やっとのことで列車から出てきていた。さて、今度は乗る番になるのだが、1人分くらいなら見た感じで乗れそうだった。ステップに足をかけ、何とか乗ることができた。しかし、このドアから乗る人が少ないことを知った、別の列に並んでいた利用客たちが、我先にと乗り込んできたのである。車内放送は、「お客様、中の方へお詰め下さい」と繰り返していたが、客室内も限界に近い状態だった。乗客同士が協力して少しずつ奥の方へ詰めたおかげで、全員乗ることができた。だが、ぎゅうぎゅう詰め状態にあることには変わりなく、私は開きっぱなしの客室ドアの溝や号車案内板につかまり、何とか体勢を維持した。外の景色を楽しみたいところだが、そんなわがままを言ってられるような状況ではなかった。電車は、この乗降で3分ほど遅れて佐賀駅を発車した。

 次の停車駅である肥前山口駅では、3人ほどが下車したものの、それほど状況は変わらなかった。さらに、長崎行きの「かもめ」を先行させるため、そのままの体勢で5分待つことになった。電車は、肥前山口駅をやはり数分遅れて発車した。次の武雄温泉駅では、10人ほど降りたので、佐賀駅で乗った時に比べると、だいぶ楽になった。同駅の上りホームには、キハ185系の団体臨時列車が停まっていて、車内のどこからか、「あの電車がいい!」という小さな子供の声が聞こえてきた。

 11:50、電車は6分ほど遅れて上有田駅に到着した。自由席特急券は、有田駅まで買っていたが、早くこの状態から脱出したかったので、この駅で降りた。

 上有田駅は、陶器市のメイン会場である通りから少し離れているので、それほど混雑していなかった。出発する前に列車の時刻表をもらい、早速陶器市の会場へ。3分ほど歩くと、焼き物を売る露店が並ぶようになり、人の数も増えてきて、通りに出ると、多くの焼き物ファンが、手にとって選んだり、値引きしてくれるよう交渉したりしていた。

 私は、「ラーメン鉢」を買ってくるように頼まれていたので、店に出入りしてそれを探した。途中に「ラーメン鉢ミュージアム」という看板があり、ここで売っているのかと思って入った。しかし、売られているものは全て数千円から何万円もする高価なものばかり。買えそうなものはなかったので、外に出た。

 歩いていると、威勢の良いおっちゃんの声が聞こえてきた。そのおっちゃんの店に入って、ラーメン鉢を探すと、案外簡単に見つかった。ラーメン鉢にもいろいろな種類があり、大きいものから小さいものまで売られていた。値段は、近所のホームセンターで売られているものより安かった。絵柄で、2つ選んだ。どこにカウンターがあるのか分からずうろうろしていると、店員のおばちゃんが「おべんきょう(?)しましょうか」と声を掛けてきた。品物を差し出すと、「1350円ね。そいない、1200円でよか(それなら、1200円で良いです)」と向こうから値引きしてくれた。表示されている価格より1、2割安くなるのは、有田陶器市ではよくある話だ。ただ、「おべんきょう」って一体何なのだろう。「値引きしましょうか」ということなのだろうか。

 周辺を歩いてみたが、ラーメン鉢を売っている店は他に見当たらなかったので、もう一度さっきの店に寄り、450円の少し小さめのラーメン鉢を選んで買うことにした。先ほどの威勢の良いおっちゃんに差し出すと、「300円でよかたい。よんにゅまけてくいろち言うもんには、おいはまけてやらんもんにゃ。(共通語訳:300円で良い。余計にまけてくれと言う人には、俺はまけてやらないから。)」と、何も言わなかったのに150円も値引きしてくれた。

 1時間ほど歩いて、上有田駅に戻った。早岐発上有田行きの各駅停車が入線するからである。この列車は、おそらくキハ28・58形、キハ66系の4両で運用される(長崎発有田陶器市号の間合い運用)と見ていたのだ。

 上有田駅のホームにいたのは、臨時の駅員と“同業者”一人だけだった。まもなく、下りホームに、415系「有田陶器市号」(肥前山口始発)の4連が4分遅れて入線した。行き先は有田なので、例の各駅停車と離合をするのだろう。方向幕は、「有田陶器市」専用のものだった。

 その2分後、上りの各駅停車が入線した。予想通り、車両はキハ28・58形、キハ66系だった。

 415系が発車した後、早速撮影を開始した。キハ28・58形の側面には、「上有田⇔早岐」と書かれたサボが掲出されていた。しかし、下の写真右側が上有田寄り、左側が早岐寄りになるので、実際の方向と矛盾している。

 一方、側面方向幕を装備しているキハ66系は、「上有田」と表示していた。おそらく、有田陶器市の臨時運用以外は使われることのない表示である。

 列車は、乗客を降ろすと、わずか2分の停車で発車した。三間坂駅に回送するためだと思われる。

 この後、私は大村線沿線で撮影をすることにしているが、次の各駅停車佐世保行きが来るまでまだ30分以上もある。なので、もう一度有田陶器市会場の撮影に行くことにした。

 上有田駅からの坂を下って行くと、「丸兄商社」という焼き物屋のそばに、「無料0円」「御自由にお持ち帰り下さい。」という札があり、かごの中に湯飲みが並べられていた。どこかが欠けているわけでもなく、どうしてタダなのか分からなかったが、よく見ると2003年(平成15年)のカレンダー入りで、山形県鶴岡市の旅館の名前が書かれていた。何らかの理由で余ったのだろうか。私は1つだけもらったが、集まってきたおばちゃんたちは、「これは使えるわね」と一人で何個もバッグの中に入れていた。

 私は、街の様子を撮影しながら歩いた。

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