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A43分遅れの到着

管理人は、東京都内で私立大学の受験を行うため、寝台特急「はやぶさ」で東京まで往復しました。

    列車が停車駅に近づくたびに、車内放送で車掌さんが列車の遅れを詫びた。遅れは45分前後で推移し、熱海駅には9:20頃到着した。熱海を出ると、JR東日本の管轄だ。反対方向の211系やE231系と何度もすれ違った。山が曇りなら海もどんより。受験旅行だけに、見通しはすっきりしていて欲しかったのだが……。

 終点東京まで1時間。最後に車内の探検に出かけた。帰りも「はやぶさ・富士」を利用するのでできないわけではないが、撮れる時に撮っておいた方が無難だ。A寝台個室の車両には、自動販売機と公衆電話がある。かつてはロビーカーにあった設備だが、今ではこんなに狭いところで押し込まれるようにある。売り上げに貢献しようと、自動販売機でドリンク剤を1本買った。コンビニで買えば100円ちょっとだが、ここでは150円。少し高いが仕方ない。

 公衆電話も、携帯電話の普及で活躍の場が狭められている。私はこの直前から携帯電話を持つようになったので、私にとってもあまり使うことのない道具になってしまった。揺れる車内で、小さなボタンを押し間違え、ガチャンと受話器を置いて掛け直した頃が懐かしい。

 洗面台。長年多くの人が使ってきたはずだが、きれいにしている。もちろん、リニューアルされたことも考えられるが、毎日整備員さんが余念なく手入れをしてきた結果だと思う。

   これは、それぞれの寝台に置かれている寝具にも言える。誰が使うか分からない。乗客の減少が報じられた晩年の「はやぶさ・富士」なら、使われることのないまま、また洗濯機に放り込まれることも多かっただろう。それでも、毎日出発する前に車両基地で係員が一枚一枚丁寧に並べた。今まで何度か寝台特急に乗ったことがあるが、大きくずれていたり、枕が転げ落ちたりしていたところを見たことがない。たいてい寸分の狂いがないと言って良いほどきっちり置かれていた。その光景は、もはや美しさで溢れていた。そんな光景が何十年も続いたわけだから、凄い。海外の夜行列車に乗ったことはないが、おそらく日本の寝台特急が、一番美しいと思う。私は、この車内で日本人が長年大切にしてきた、決して飾らない「美しさ」を見つけたような気がした(というのは言い過ぎか……)。

 デッキに車内販売用のワゴンが置かれていた。販売員さんはいなかったが、かごを見る限り、全部売れたのだろう。少し古びたその姿からは、哀愁が漂ってくる。

   客車の併結部分にやって来た。名列車のテールマークを一度に見られるのは嬉しいことだが、これも合理化の結果である。昔も併結列車は存在したが、それは線路容量がパンパンだった、つまり列車を利用する人が多く、単独列車ではダイヤが組めなかったことがその理由である。そう考えると、何だか複雑な気分だ。

   再び戻ってA寝台車。通路の片隅に、ささやかな道具が置かれていた。おそらく、靴に付いたほこりを落とすものだろう。この小さな小さなサービスが嬉しい。

   続いて先頭へ。電源車がないので、行きでも帰りでも機関車を間近に見ることができる。EF66形は、目の前で見ると本当に迫力がある。何より、今、この列車の全てを引っ張っているのは、この機関車であるという仕組みがよく分かる。電車であれば、ほとんどの動力が車両の下にあるため、乗客の目に触れることはあまりない。

   部屋に戻った。このA寝台個室はしばしば「うなぎの寝床」と形容されるほど、細長い。天井は広いが、床面積はB寝台個室「ソロ」とあまり変わらない。それに1万3350円は高いような気もするが、それなりに豪華さがある。ちなみに、設置されているプラスチック製のコップは、珍しい(?)アメリカ製だった。また、電気カミソリ用のコンセントもある。もちろん、携帯電話の充電も可能で、私もお世話になった。

   横浜を出た。やはり遅れは40分を超えている。列車は、少しでも遅れを取り戻そうと急いだ。

   多摩川を渡り、列車はいよいよ東京都内へ。しばらくして、最後の放送が行われた。放送によれば、43分遅れて東京駅に到着するという。品川、浜松町、新橋……。別れの刹那が迫る。10:41、列車は東京駅10番線に、最後はゆっくりと入っていった。

 列車を降りて先頭車へ。既に機関車は切り離され、ヘッドマークを撮影することはできなかった。ただ、これも以前東京駅で撮影済みであり、どうせ今撮ってもギャラリーが多くて満足に撮れたかどうか分からない……という“すっぱいブドウ”的な理由をつけて諦めた。

   一方、客車の周りは、テールマークを撮影しようと大勢の人でしばらく賑わっていたが、回送列車を撮影するのか、新橋寄りの方へ大半が移動してしまったらしい。なので、客車をゆっくりと撮影できた。

     向かい側の9番線には、特急「スーパービュー踊り子」が入って来た。おそらく、この電車が回送されてから機関車は反対側へ移動するのだろう。ホームで電車の回送と機関車の入線を待っていると、中央線乗り場にオレンジの電車が入って行くのが見えた。稼働率が低下している201系だった。まだ走っていたんだ……と嬉しくなった。

     9番線が空いたところで、機関車が入線。ゆっくりと通過していった。

 ホームの新橋寄りは、やはり混雑していた。こりゃあ撮るのは難しそうだ、と思い、有楽町駅へ移動することにした。その前に、せっかくなので1枚。

 山手線に乗って1駅。有楽町駅のホームで待つ。しかし、なかなか列車は来ない。もしかして、東京駅で山手線に乗り換えている間に発車したのでは……という嫌な予感がした。しかも、遅れて到着したので、この後の予定も不安になってきた。実はこの後、日暮里駅前のホテルに荷物を預けた後、3つの試験会場の下見へ行くことにしている。なるべく夕方のラッシュに入る前に下見を終えたいので、やむを得ず撮影を諦めることにした。Suicaにチャージして入場し、山手線内回り、上野・日暮里方面行きホームへ。電車が到着する寸前、何と今頃「はやぶさ・富士」の回送列車が通って行った。幸い、手にカメラを持っていたので、走り行く姿ながら撮影できた。もう少し粘っていれば良かった……とも思ったが、これはこれで大都会の中を走っています、という感じで、個人的には嫌いではない。

 今日から3日間泊まるのは、日暮里駅から徒歩1分の「ときわホテル」。1泊6600円〜とそれほど高くなく、何よりJR時刻表の巻末で「JR協定旅館ホテル」として紹介されていたので、それなりの信頼度があるのだろうと考えたからである。しかも、調べたら温泉まであるという。各試験会場まで30分以内で到着できるという利便性も考慮した結果、このホテルに決めたのだ。

 日暮里駅前は、再開発中の場所もあり、建築音で騒々しかった。真新しい「日暮里・舎人ライナー」が頭上を横切る。ホテルは、線路に並行した狭い道路沿いにあった。フロントにいた係りの女性は電話中だったので、しばらくフロントの前で立っていたが、ホテル関係者と思われる別の女性が現れ、「こちらのソファでおかけになってお待ち下さい」と案内された。時計を見れば、既に12時を過ぎている。10分くらいしてようやく荷物を預けることができた。  

B下見と試験、試験の3日間 

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