@旅の始まりはどんより。そりゃあ梅雨だから。

「佐賀発大畑行き」。このような物好き以外は絶対買わないようなきっぷを買ったのは、おそらく私だけではないだろうか。

 JR九州20周年企画「スタンプラリー20」が14個集まり、あと1箇所をどこにしようかと悩んでいたところ、「いさぶろう・しんぺい」が一番安く行けることが分かった。計画の素案を立てていたら、当サイトの掲示板に「通常運用のいさしん車両が検査をするので、代走で一般型の車両が連結される」との報告があった。この計画は、7月に行こうと思っていたのだが、それならばと計画を前倒しし、2007年(平成19年)6月17日(日)に早速実行した。

 当日。駅まではいつものように自転車で向かい、早速「みどりの窓口」に行って、「佐賀から大畑までの往復乗車券と人吉から熊本までの自由席特急券をナイスゴーイングカードでお願いします」と申し出た。駅員さんはそれほど驚いた様子もなく、「これでよろしいですね?」と聞き返しただけだった。その駅員さんは、私がきっぷを買うたびによく窓口に座っている方で、向こうももしかすると私のことを覚えていて、「あの高校生はよく来るから、鉄道が好きなんだろうな」と思って、驚かなかったのかもしれない。

 私は1番乗り場に行って、811系の小倉行きを待った。この電車は、特急待避というわけでもなく、肥前山口発なのに上り列車が多く発着する3・4番乗り場にはなぜか入線せず、上り線から下り線を渡って入ってくるという謎の電車である。電車は定刻に佐賀駅に入線した。佐賀駅では、これから部活動に向かうと思われる高校生が10人ほど降りてきた。車内は空席が多く、座席の確保には困らなかった。電車は7:26に佐賀駅を発車した。

 外はどんより曇っていて、田植え直前の田んぼに張られた水までもがどんよりとしたねずみ色だった。私は晴れの旅行も雨の旅行も好きだが、中途半端な曇りの日の旅行だけは好きになれない。まぁ梅雨だから仕方のないことだけれど。

 鳥栖駅で荒木行きの快速に乗り換えた。後続の熊本行きでも良いのだが、荒木駅舎の撮影をやり直そうと思っていたので、先に行くことにしたのだ。ホームで荒木行きを待っていると、ED76−1012牽引の貨物列車が入ってきた。貨物列車は、数分間停車した後、ゆっくりと鳥栖駅から出て行った。

 荒木行きの快速は、813系R205編成だった。こちらの車内も空いていた。

 途中、久留米駅に停車しただけで荒木駅に到着した。

 駅舎を撮影しようと改札口に向かったところ、駅員さんと女性が何やらもめていた。別に怒っている様子ではなかったようだが、時間がなかったので諦めてホームに引き返し、熊本行きの各駅停車を待った。熊本行きは、811系の4両編成だった。

 9:52、電車は終点の熊本駅に到着した。次の八代行きは10:03。少し時間があるので、途中下車して熊本市電の撮影を行った。

 電停のそばには色とりどりの花が植えられていた。しかし、曇天なので、花たちもあまりうれしそうな表情ではなかった。

 熊本駅前では、民主党の参院選候補者が演説を行っていて、私は熊本市民でない上に有権者でもないのに民主党のチラシを渡された。ただ、民主党に支持や期待が寄せられるのは、今の自民党や安倍内閣に不満を持つ国民が増えてきている表れでもある。自民党は、数の力で何でもかんでも強行採決。安倍内閣は、もはや屋台骨ぼろぼろの状態。鹿島市などの反対で着工できない長崎新幹線も「地元同意は無理だ。知事同意にルール変更しよう」という驚くべき発言をする人もかなりいる。このような発言をする人たちに、本当に日本の運命を託して良いのか。高校生の目から見ても、疑問に感じる。

 10:03発の八代行きは、817系だった。

 八代駅では、人吉行きのキハ31形に1分の接続で乗り換えた。座れないかもしれないと思っていたが、こういう天気なので観光客も少なかったのか、空席が目立った。

 列車は、肥薩おれんじ鉄道の線路にさよならすると、球磨川に沿って走るようになった。どの乗客も皆、肥薩線でしか味わえない車窓を楽しんでいた。

 

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