@午後の東海道本線を上る

青春18きっぷで東京、新潟を経由し、京都へ戻る旅をしました。

 昨年(2009年)の夏は、青春18きっぷで西日本を一周した。あれから約4ヶ月半。今度は、針路を東に向け、東海道本線や上越線、北陸本線などを経由して京都へ戻る、中日本一周の旅を計画した。旅行期日は、青春18きっぷの有効期限が迫った2010年(平成22年)1月10日と11日。10日夜は「ムーンライトえちご」の指定席を予約した。

2010年(平成22年)1月10日(日)

 旅は昼前から始まった。花園11:47発の山陰本線(嵯峨野山陰線)京都行きは、221系だった。最初は混雑していたが、二条駅で大勢の乗客が降りたので、ここから座れた。京都駅では、野洲行きの223系新快速に乗り換えた。新快速は、大阪行きのトワイライトエクスプレスが京都駅に入線したと当時に発車した。新快速の先頭車は空いており、好きな席に座れた。

 終点の野洲駅には、12:41に到着した。途中下車し、駅前の風景を撮影した。駅舎は、都市やその近郊でよく見る橋上駅タイプだった。

 12:56発の223系新快速長浜行きに乗車し、旅を再開。こちらも車内は空いていた。15分ほど乗ると、車窓は雪の風景に変わった。彦根駅には、近江鉄道の電車と一緒に入線した。

 13:21、新快速は米原駅に到着した。ここでは、大垣行きの117系に乗り換えた。窓側の席に座ることができ、ここから先も雪の車窓を楽しめそうだ。

 米原から関ヶ原のあたりまでは雪が積もっていたが、大垣駅まで来ると積雪の名残は何もなかった。大垣駅では、豊橋行きの新快速に乗り換えた。車両は、313系5000番台。よく思いだしてみたら、大垣―熱海間の普通電車に乗るのはこれが初めてだ。今までは、夜行列車ばかりで、昼間にこの区間を利用したことさえなかった。そういうこともあり、車窓がどのような風景か、楽しみである。

 新快速豊橋行きは、14:10に大垣駅を発車。時折、田園風景の中を通りながら東へ進んだ。岐阜駅の近くでは、遠くに岐阜城が見えた。愛知県に入り、間もなく名古屋駅に到着するというところまで来ると、名古屋鉄道(名鉄)の赤い電車と並走。名鉄電車の派手さは、決してJR九州の車両に劣っていないと思った。

 名古屋の市街地を抜けると、車窓は広々とした田園風景に変わった。空は穏やかに晴れており、良い旅行日和となった。ただ、この2週間後に定期試験やレポート課題の提出が迫っていたので、大部分の乗車時間を試験やレポート関係の本を呼んで過ごした。

 豊橋駅には、15:30に到着。豊橋駅は、JR在来線のみならず、新幹線や名鉄、豊橋鉄道が乗り入れているだけあって大きなターミナルだった。私は駅前で豊橋鉄道の路面電車を15分ほど撮影した。

 ホームに戻り、掛川行きの普通電車に乗り換えた。今度は313系2500番台。全車ロングシートという長距離旅行者泣かせの電車である。途中まで混雑していたが、中にはガンダムの大きなプラモデルを見ながらハァハァ言っている変な乗客もいた。できれば家でハァハァ言って欲しいものだが……。鷲津駅で何とか座れた。

 16:26、浜松駅に到着した。電車を降りた。掛川以遠へ行く次の電車が、浜松始発だからである。残念なことに、次の熱海行きもオールロングシートの313系2500番台だった。こちらは、始発から座れたが……。

 ふと窓の外に目をやると、西の空では夕陽が沈もうとしていた。予定通り行けば、次に太陽を拝めるのは信越本線の車内からだろう。

 ネオンサインが煌びやかな静岡市街を抜け、40分ほどすると沼津駅に到着した。ここで食料調達のため、電車を降りた。しかし、駅ホームの売店は閉店したばかりだったので、駅舎に併設されている商店街に入った。すると、中華弁当の店が弁当の安売りをしており、735円のものが420円に値下げされていた。これはお得とばかりに、メニューを選んで即購入した。

 次の東京行きが発車するまで時間があるので、駅舎を撮影するために、駅前のロータリーへ出た。すると、駅前にどこかで見た色のバスが停まっているではないか。滋賀県を走る近江鉄道バスとまったく同じ車体色。ライオンも描かれている。しかし、会社名は「伊豆箱根バス」。後で調べてみると、どちらも西武ライオンズの親会社である「西武鉄道」の傘下にあり、同鉄道の系列各社には「ライオンズカラー」という車体色をまとった電車やバスが多いそうだ。なるほど。

 駅前を一周して駅舎を撮影した。平屋の建物で、夜空に白い建物が浮かび上がっていた。しかし、近い将来、沼津駅付近で高架化や区画整理が行われるそうで、その時にはこの駅舎も姿を消すのだろう。

 さて、次の各駅停車東京行きは、JR東日本所属のE231系。熱海―沼津間はJR東海管轄だが、1日数往復が沼津駅まで乗り入れている。車内はガラガラで、先頭車のボックスを占領できた。

 東京行きは、19:08に沼津駅を発車。それと同時に、先ほど買った弁当を開いた。早速食べてみたが、値段がもともとお高いだけに大変美味しかった。特に酢豚!ちなみに、通路をはさんだ向かい側の韓国人らしいグループも食事中だった。きれいな夜景を眺めながら何かを食べるのは本当に贅沢だ。

 ところで、最近は「電車内でご飯を食べる行為がマナー違反」という声が高まっている。確かに、ロングシート車や混雑した車内で食べようとは思わない。しかし、ボックス席ではどうなのだろう。もし、ボックス席で食べることさえマナー違反だとすれば、新幹線や特急列車の車内で弁当を売ることとの整合性がない。なぜなら、車内で弁当を販売することは、そこで弁当を食べることを前提にしているからだ。

 ロングシートであろうと、ボックス席であろうと、新幹線の車内であろうと、公共空間であることには変わりない。空調設備も発達しているし、ボックスや新幹線のような座席であれば、ある程度他者の視線をカットできる。なのになぜ?一体どこで線引きをすれば良いものか。ただ、一律で車内の食事がマナー違反となるのは、本当に味気ないことだと思う。昔は、車内で食事をすることが当たり前だったのだから。

 さて、熱海駅からはJR東日本エリアだ。途中の小田原駅では、快速「アクティ」が先発だったが、東京到着が11分差なので、そのまま乗り通すことにした。辻堂付近から乗客が増え始め、同じボックスの空席もすぐに埋まった。20:49、横浜駅に到着した。ドアが開き、乗降が始まった。すると、後ろで悲鳴とドサッという音がした。振り返ってみると、60歳くらいの男性が転倒して、若い女性が「大丈夫ですか?」と声をかけていた。どうやら、女性が男性にぶつかって転倒させてしまったらしい。男性はぶすっとした顔のまま降りていった。

A夜の都内で

旅行記&特集へ

トップへ