J三木から神戸、そして大阪

春と言えば鉄道旅行。そこで、今回は、広島や京都など“四都”を走る鉄道を旅しました。

 三木駅には古い木造駅舎が残っており、その上有人駅だった。ただ、運賃収受などは車内で行われるので、実際には定期券発売などが主のようだった。駅舎内の雰囲気もレトロで良かった。こうした木造駅舎は、都市部からほとんど消え、ローカル線に残るばかりとなったが、そうした駅は無人駅だったり、建物を半分にされたりしている。しかし、三木鉄道三木駅の場合は、閑散とはしているが、駅の窓口には灯りが灯っていて、時折駅員さんの人影が見える。わずかなりとも人のいる雰囲気があってこそ、駅と言うものがあると思った。待合室のいすには、それぞれ座布団が置かれていて、駅員さんの心遣いが感じられた。

 窓口には、いくつかの駅の記念入場券を発売しているという旨の張り紙があった。しかも硬券!早速窓口で買った。確かに硬券で、裏にはナンバーが印刷されていた。昔の雰囲気を色濃く残す駅舎とそこで売られている硬券。私の知らない時代が再現されたような感じだった。

 駅舎内には水槽があり、メダカとタナゴが飼われていた。九州や山口県でも、久留米駅ではクジャク(今は別の場所にいるらしい)、臼杵駅や宇部新川駅では金魚が飼われている。やはり、駅員さんには生き物の世話が好きな方が多いのだろうか。

 外に出てみた。もともと嫌な天気だったが、雨がぽつぽつ降り始めていた。瓦葺屋根の外観もなかなか良く、それだけに廃止された後の処遇が気になるところである。鉄道廃止は仕方ないとしても、文化財的価値のある駅舎まで簡単に壊されてしまうのは、抵抗を感じる。

 せっかくなので、傘を差しながら散策してみることにした。駅のすぐ西側には、貨物駅の跡らしい駐輪場があった。このすぐ隣には留置線があり、ミキ300形が留置されていた。

 三木17:42発の厄神行き(先ほどの折り返し)を撮影するために、場所を探した。三木駅から徒歩5分ほどのところに踏切があり、障害物もなく、ちょうど良さそうだったので、そこでカメラを構えることにした。

 17:42、列車は定刻に三木駅を発車した。雨が降っている上に、もう夕暮れ。普通に撮れば、暗くなるかぶれるか。なので、ここは流し撮りをしてみた。

 列車は、ブロロロとエンジン音をあたりに響かせながら、去っていった。多分もう会うことはないかもしれないが、「三木鉄道」という線路が存在したことを、私は忘れない。

 私は、雨の三木市内を地図で確認しながら神戸電鉄三木駅に向かって歩いた。三木から神戸に向かうには、神戸電鉄の方が断然便利で、私もそれがあったから、神戸電鉄を使うのだ。旧国鉄三木線、そして三木鉄道がこのような運命を辿ったのも、神戸電鉄の便利さに原因があったのだろうと思う。

 途中で大きな川を渡った。上流で大雨が降ったのか、川の水は茶色くにごっていた。渡ってから、川沿いの土手の道に入った。

 ところが、土手の道はだんだんと狭くなってゆき、最終的には写真のような狭さに。ギネスブックには、「世界一幅の狭い通りは49センチ」と書いてあった記憶があるが、この道も案外良い勝負をしているのかもしれない。

   神戸電鉄三木駅に着いた。同三木駅は、粟生方面と鈴蘭台・湊川(神戸)方面で駅舎が分かれていた。

単線の踏切を渡り、湊川駅までのきっぷ(590円)を買って、改札に入った。まもなく、電車が入線した。

   一日の疲れが出てきて、うとうとしてしまい、起きたときは電車が六甲山地を貫くトンネルを出て、急な坂を下っているところだった。湊川駅で神戸市営地下鉄に、三宮駅でJRに乗り換えた。新快速に乗ったが、やはり立ち席となった。大阪駅で、夜行列車の中で食べようと駅弁を買った。大阪環状線の103系に乗り換え、天王寺駅へ。天王寺駅には、103系が何本か停車していた。

 予定では、天王寺駅から阪堺電気軌道に乗って、住吉公園駅まで往復することにしていたが、電停を探すのに時間がかかってしまい、断念した。なので、大阪環状線の駅めぐりに変更した。103系に乗って、「大阪城公園駅」や「桜ノ宮駅」などのマイナー(?)な駅を中心に下車した。大阪城公園駅の近くの森(?)では、ライブか何かが開かれているようだった。駅前からは、ライトアップされた大阪城も少し見えた。

 天満駅から乗った電車は、東海道本線・山陽本線の各駅停車から転属してきた201系だった。

 大阪駅から321系高槻行きに乗った。私が321系に乗るのは初めてだった。乗客が少なかったので、液晶ディスプレイも撮影できた。

   新大阪駅で今晩の宿、「ムーンライト九州」に乗り込んだ。

 今度は窓側で通路側には、女性が座った。列車は、21:59に新大阪駅を発車した。発車してすぐ、おなじみのオルゴールが流れて、車内放送が始まった。

 列車がビルの谷間を駆け抜ける。客車なので、時折かかるブレーキによる衝撃を除くと、レールの上を滑るような走りだった。神戸駅を発車してから、大阪駅で買った「大阪かつ弁当」(850円)のふたを開けた。

 何で大阪が「かつ」なのかなぁと思いながら食べてみた。いろいろ考えていると、「こち亀」で大阪が舞台になると、しばしば「串かつ」が出てきていたことに気づいた。なるほど、大阪は「かつ」が有名なのか、とようやく納得できた。

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